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飲食店選びがなぜ重要なのか?
飲食店選びのアドバイスの前に一つ質問です。
みなさまは、日本にどれくらいの飲食店があると思いますか。
正解は、67万店舗。
経済産業省の統計によると2014年では飲食サービス業で約67万事業所、その他飲食関連業で約45万事業所となっています。※1また飲食サービス業に従事している従業員数は約480万人となり、日本の人口の約7%がいわゆる飲食店で働いていることになるのです。※2
※1 経済産業省 経済解析室「飲食関連産業の動向「FBI2016年第4四半期」より
※2 統計局 平成26年労働力調査年報より
そのような多くの飲食店から自分に合った店を探し出すというのはとても大変なことです。

そのため、まずは大手チェーンか中小、個人店にするかをわけて考えた方がよいかもしれません。
ということでその違いを先にご説明します。
大手と中小飲食店の違い
そもそも大手と中小の定義はなんなのか、というところですが、転職先を探すにあたってそこまで重要視しないといけないこともないので、なんとなく誰でも知っていて店舗展開も多くしているところが大手ぐらいの認識で問題ないかと思います。
例えば吉野家、松屋などは間違いなく大手です。筆者もよくお世話になりました。しかし同じく丼チェーンである東京チカラめしは東京、千葉、大阪の7店舗しかないため、大手とは言い難く、中小と言えるでしょう。
※3実際に東京や大阪近郊にお住まいの方以外は知る人も少ないのではないでしょうか。
※3 東京チカラめし公式HP
と、大手と中小の区別はこんな感じで良いと思います。
区別ができたところで次に具体的な違い、しかも大きな違いだけをご紹介します。
具体的な違い
- ①教育体制
- ②待遇・福利厚生
- ③マニュアル(の有無や充実性)
- ④将来性(昇進、職務転換、独立など)
なぜ大手飲食チェーンが有利なのか
さて、ここからが本題です。
筆者はカレーチェーンの大手「カレーハウスCoCo壱番屋」に数年ほど働いていました。また中小の居酒屋チェーンや個人経営のカフェ、弁当屋でも働きました。そういった経験の中で感じたことをこれからみなさまにお伝えしていきます。
まず大きな違いとして、大手は基本的な仕組みがしっかりと作られています。

多店舗経営を行う大手チェーンには、基本的に全店舗で「統一された基本サービス」を提供するという目的があります。
そのためにマニュアルや教育方法を一元化することで教育コストの削減やミスの少ないオペレーションの実施などを実現しているのです。これが大手チェーンにはしっかりとした仕組みづくりがある理由です。
さらに待遇・福利厚生においてもほぼ全国で統一され(最低賃金に触れる時間給は除く)、わかりやすく、公平に記されている場合が多いです。
それに対して中小企業では店舗運営や経営の現状維持に終始することで、基本的な仕組みが整っていることが少なく、マニュアルはないところが多いように思います。実際に筆者が最初に働いた居酒屋チェーンでは、マニュアルはおろか、指導もほとんどなく、いきなりホールへ投げ込まれたものです。

このような体験をするというのはまれかもしれませんが、長く続けたいと思える環境はあまり多くないと言えるでしょう。
とはいえ、中小または個人店でもしっかりした仕組みづくりができていることもあります。それを知ろうとするにはお店や会社のHPなどを見る必要があり、その内容から判断しなくてはなりません。店舗は無数にあります。よほど時間がある場合以外には大手チェーンのほうが確率は高いと言えます。
大手の具体的なメリットとは?
①教育体制、③マニュアル(の有無や充実性)
①の教育体制と③のマニュアル面については、なかなか一般の店舗の実情を知りにくいので筆者の体験をお伝えします。と言ってもCoCo壱番屋になりますが。
同社はマニュアルがあります。調理や接客の知識や技術をここで学びます。また教育するパターンもおおむね決まっているようです。
そして特徴は「ていねいで優しい」。最初に働いた店舗はスパルタの店長だったので例外もあります。(但し、しっかりとした接客の基礎を学べたので後悔はしていません。)
本人の成長をその都度確認し、次に進んでいいかどうかを決めます。そのため、不安な気持ちで働くことはほとんどありません。これだけでも違いはあると言えます。
②待遇・福利厚生
②待遇・福利厚生の例として吉野家をあげてみます。
2019年11月現在の新卒募集として、月給204,229円(各種手当別、地域差あり)となっています。
休日面では有給休暇のほか、看護休暇や公傷病休暇、特別休暇、介護休業、産前産後の休暇、育児休業、生理休暇、夏季休暇などがあり、さまざまなライフスタイルに対応された豊富な休暇制度があることがわかります。
また福利厚生面では、社会保険完備、パレット共済会加入(各種給付金・財形貯蓄・レジャー施設・宿泊施設など)、確定拠出年金、従業員持株会、保養所、寮社宅、アニバーサリィ記念品贈呈、勤続永年表彰、パレットクラブ・従業員持株会・財形貯蓄・全国に保養所施設・各地契約ホテルなどと、大手のスケールメリットを充分に生かした充実の制度が魅了です。

これは中小店舗ではとても真似しにくい内容と言えるでしょう。
④将来性(昇進、職務転換、独立など)
④最後に将来性です。
前述のCoCo壱番屋には、キャリアステップやキャリアアップ、またその基準である「等級」、さらにその内容までしっかりと明記されています。※4
※4 壱番屋公式HP
また独立の制度として独自の制度「ブルームシステム」があります。※5
※5 壱番屋公式HP
独立前には資金積立のための独身寮や物件や店舗の提案、資金相談など、料理の知識や技術だけでなく、店舗の立ち上げにも協力があります。
独立後は、オーナー同士の情報交換会や食材の供給支援、店舗メンテナンス、さらにはSV(スーパーバイザー:店舗管轄者)による運営指導などにより、安定した運営を実現できます。
また壱番屋に限らず、大手チェーンには多店舗展開や新規事業展開により、ポストが豊富にある点がメリットです。反対に中小では新店オープンや新事業展開には時間がかかります。

ただタイミングがよければすぐに新事業に携われたり、新店オープンを任されたりすることもあるので、必ずしも中小がだめとは言えません。
大手チェーンのデメリットを探す
大手チェーンのメリットをここまでお伝えしてきましたが、デメリットはないのでしょうか。
某牛丼チェーン店を例にあげると、長時間労働やワンオペと呼ばれる深夜の一人運営など近年問題になったこともありますので、デメリットも必ずあると言えます。
この問題の原因は大手チェーンならではの理由があります。それは実店舗以外の事務所経費や人件費など、個人店にはない経費を稼ぎ出さないといけないということです。売上が右肩上がりのうちは問題にはそうなりませんが、売上が横ばいもしくは下降した場合に経費を削るという傾向になります。

そうすると一番影響を受けるのが、従業員です。大手チェーンの一番のデメリットというとここになるのではないかと思います。
反対に中小や個人店では本社以外に経費のかかるところは少ないでしょうから、上記のような長時間労働のような無茶な運営は少なくなりそうです。但し、経営者との関係が近いため、その理念によっては大変な職場環境であることも充分あり得ますので注意が必要です。
転職後のその先
みなさまが実際に大手チェーンや中小、個人店のいずれかに転職したとします。そして働いてみて今後続けるべきか、辞めるべきかの判断はできるだけ早くしたほうが良いです。
それはそこでの環境というものが、劇的に改善されることはめったにないからです。労働環境においてはその店の管理者の交替、社会的な環境においては運営会社の交替という確率の低いまれな出来事が起きない限り、変わりません。

さっさと見切りをつけて次に行きましょう。と言っても何度も転職はできません。
そのため失敗しない店舗・会社選びをする必要があるのです。そのアドバイスなどは次項でご説明します。
下記ページでは、飲食業界におすすめの転職サイトを紹介していますので、参考にどうぞ。
失敗しない店舗選びのために-結論とアドバイス-
さまざまな飲食店で働いてきた筆者の経験から結論を言いますと、業界未経験の方は、最初は大手企業に転職し、飲食業のノウハウを学ぶのが失敗の少ない方法です。業界を経験されている方は、自分が目指す将来像が実現しやすそうな会社・店舗を選ぶと良いと思います。
それは技術の習得や向上などのスキルアップなのか、幹部職への昇進や独立などのキャリアアップなのかはみなさま次第。まずはこちらの記事をもとに、どうなりたいか自己分析されてからの転職をおすすめします。
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